『ハーツ』久綱さざれ(2003.8.8 学習研究社)

 片坂が目覚めると、そこはどことも知れぬ真っ赤な座敷 だった。部屋の外に出ても廊下が無間に続き、脱出はかなわない。同じように閉じ込められているかつての級友たちと語り合ううち、ここがの 中だと確信する片坂。しかし、複数の人間が同じ夢の中で出遇うなどということがあり得るのか!?
 ともあれ、ここから抜け出す唯一の鍵が「ハーツせんよう 結花」 と書かれた不気味なトランプにある、と推測した彼らは、それを使ってゲームを始めた。自分たちの生命を賭けることになるとも知らずに……。
 そして、ゲームは一度では終わらなかったのだ――!

 増殖する呪いの連鎖に巻き込まれ、自分の生命を掛け金にしたゲームに強制的に参加させられる、という『リン グ』型の1作。このパターンでは、大抵ゲーム のルールそのものが分からず、それを解き明かすことがそのままゲームの目的になっている、という展開が多いが、本作もまた然り。
 作者は前作(=デビュー作)『ダブル』(02年)で も、主人公たちにドッペルゲンガーの 出現と、その目撃者の死を巡る法則性を見出させようと、さまざまなアプローチをさせていた。本作もゲームは夜ごと繰り返される夢の中で、昼間はトランプに 込められた呪いを解明すべく奔走するという、ルール探しが大半を占める。
 しかし、タイムリミットの中で二転三転する展開はもちろん、博識異端 の研究者貯水槽の底 で待っている死んだ少女、人類全体への復讐といったかなり具体的なところまで『リング』に 似てしまっているのはいかがなものか。そうい えば夢オチも三部作と 同じだ な。

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